2012年4月22日日曜日

マラリア - Wikipedia


マラリア(麻剌利亜、「悪い空気」という意味の 古いイタリア語:mal aria 、独語:Malaria、仏語:Paludisme)は、熱帯から亜熱帯に広く分布する原虫感染症。高熱や頭痛、吐き気などの症状を呈する。悪性の場合は脳マラリアによる意識障害や腎不全などを起こし死亡する。瘧(おこり)とは、大抵このマラリアを指していた。

病原体は単細胞生物であるマラリア原虫(Plasmodium spp.)。ハマダラカ(Anopheles spp.)によって媒介される。

マラリア原虫はアピコンプレクサ門 胞子虫綱 コクシジウム目に属する。微細構造および分子系統解析からアルベオラータという系統に属する。ここには他に渦鞭毛藻類が知られ、近年マラリア原虫からも葉緑体の痕跡が発見された。そのため、その全てが寄生生物であるアピコンプレクサ類も祖先は渦鞭毛藻類と同じ光合成生物であったと考えられている。ヒトの病原体となるものはながらく熱帯熱マラリア原虫(P. falciparum)、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、四日熱マラリア原虫(P. malariae)、卵形マラリア原虫(P. ovale)の4種類であったが、近年サルマラリア原虫(P. knowlesi)が5種目として大きな注目を集めている。サルマラリアは顕微鏡検査では P. vivaxと区別が難しいため従来ほとんど報告例はなかったが、近年の検査技術の発達によりPCRで確実な判断ができるようになったため、多数症例が報告されるようになった。マレーシア サラワク州では今日のマラリア症例の70%がサルマラリアによるものであることも報告されている[1]。タイでも報告例がでてきた[2]。熱帯熱マラリア原虫によるマラリアは症状が重いことで知られるが、サルマラリアは24時間以下の周期で急激に原虫が増加し、他のマラリアとことなりほぼすべての赤血球に侵入するため症状は重篤になることが多く[3]、これらの発見から当該地域でのマラリアコントロールは新たな手法による対応を迫られている。

マラリア原虫は脊椎動物で無性生殖を、昆虫で有性生殖を行う。したがって、ヒトは終宿主ではなく中間宿主である。ハマダラカで有性生殖を行なって増殖した原虫は、スポロゾイト(胞子が殻の中で分裂して外に出たもの)として唾液腺に集まる性質を持つ。このため、この蚊に吸血される際に蚊の唾液と一緒に大量の原虫が体内に送り込まれることになる。血液中に入ると45分程度で肝細胞に取り付く。肝細胞中で1 - 3週間かけて成熟増殖し、分裂小体(メロゾイト)が数千個になった段階で肝細胞を破壊し赤血球に侵入する。赤血球内で 8 - 32個に分裂すると赤血球を破壊して血液中に出る。分裂小体は新たな赤血球に侵入しこのサイクルを繰り返す。

マラリアの流行地域

  クロロキン耐性・多剤耐性あり

  クロロキン耐性あり

  熱帯熱マラリアまたはクロロキン耐性なし

  存在しない

過去には、日本やヨーロッパなどでもマラリアが流行したと考えられている。イタリアの都市の多くが、丘の上に作られているのは、低湿地がマラリアの多発地帯である事を恐れた結果であったとする指摘がある。実際、過去にはイタリアでもマラリアが存在し、カミッロ・カヴールなどの偉人が帰らぬ人となっている。

しかし、現代では、日本やヨーロッパなどの温帯地域はマラリアの流行地帯ではなく、流行は熱帯地域に多い。マラリアの発生、流行は、現在、熱帯、亜熱帯地域の70か国以上に分布している。全世界で年間3 - 5億人、累計で約8億人の患者が発生し、死者数は100 - 150万人に上ると報告されている。もっとも影響が甚大な地域はサハラ砂漠以南のアフリカ諸国である。

[編集] 予防

[編集] 一次予防

ワクチンは存在せず、マラリアの流行地に行く場合はまず感染を防ぐ(蚊に刺されないようにする)ことが最重要事項である。殺虫剤や虫除けスプレーなどを使うほか、夜間は蚊帳を用いることも必要である。抗マラリア薬の予防投与も行われる。

[編集] 二次予防

マラリア流行地域から帰国してから1 - 2週間後に高熱が発生した場合はマラリアが疑われるため、熱が下がっても安心せず、直ちに病院を受診することが必要である。

[編集] 三次予防

再発を防ぐため、投薬中止は自分で判断せず、必ず医師の判断を仰ぐ。

マラリアを発症すると、40度近くの激しい高熱に襲われるが、比較的短時間で熱は下がる。しかし、三日熱マラリアの場合48時間おきに、四日熱マラリアの場合72時間おきに、繰り返し激しい高熱に襲われることになる(これが三日熱、四日熱と呼ばれる所以である)。卵形マラリアは三日熱マラリアとほぼ同じで50時間おきに発熱する。熱帯熱マラリアの場合には周期性は薄い。


減量のためにブプロピオン塩酸SR

熱帯熱マラリア以外で見られる周期性は原虫が赤血球内で発育する時間が関係しており、たとえば三日熱マラリアでは48時間ごとに原虫が血中に出るときに赤血球を破壊するため、それと同時に発熱が起こる。熱帯熱マラリアに周期性がないのは赤血球内での発育の同調性が良くないためである。

いずれの場合も、一旦熱が下がることから油断しやすいが、すぐに治療を始めないとどんどん重篤な状態に陥ってしまう。一般的には、3度目の高熱を発症した時には大変危険な状態にあるといわれている。

放置した場合、熱帯熱マラリア以外は慢性化する。慢性化すると発熱の間隔が延び、血中の原虫は減少する。

三日熱マラリアと卵形マラリアは一部の原虫が肝細胞内で休眠型となり、長期間潜伏する事がある。この原虫は何らかの原因で分裂を再開し、再発の原因となる。四日熱マラリア原虫の成熟体は、血液中に数か月~数年間潜伏し発症させることがある。[4]

[編集] 合併症

合併症は一般的に熱帯熱マラリアに起こる。

[編集] 脳マラリア

原虫が寄生した赤血球が脳内の血管などの微細な血管に詰まり血流を阻害することにより発生する。意識低下、言語のもつれなどの神経症状が起こる。進行すると昏睡状態に陥り、死亡する。

[編集] 黒水熱

急速な溶血により、ヘモグロビン尿、黄疸などが発症する。

[編集] その他の合併症

脾臓肥大と低血糖、肺水腫などが発症する可能性がある。また、妊婦が感染すると妊娠に影響を与え、また原虫が胎児に移行する可能性もある。

ギムザ染色によってマラリア原虫は赤血球内に認められる。

  • 末梢血ギムザ染色...ただし通常のpH6.5ではなく、ph7.2~7.4のリン酸緩衝液を用いたほうが観察しやすい。
  • 迅速診断キット
    • ICT Malaria P.f./P.v.®
    • OptiMAL®
  • PCR-MPH法(岡山大 綿矢ら)
  • 赤血球の溶血にともないハプトグロビン値の低下が見られる。血小板数も低下する。

マラリア原虫へのワクチンはないが、抗マラリア剤はいくつかある。マラリアの治療薬としてはキニーネが知られている。他にはクロロキン、メフロキン、ファンシダール、プリマキン等がある。いずれも強い副作用が現れることがあり注意が必要。クロロキンは他の薬剤よりは副作用が少ないため、予防薬や治療の際最初に試す薬として使われることが多いが、クロロキンに耐性を示す原虫も存在する。通常は熱帯熱マラリア以外ではクロロキンとプリマキンを投与し、熱帯熱マラリアでは感染したと思われる地域での耐性マラリア多寡に基づいて治療を決定する。近年では、漢方薬を由来としたチンハオス系薬剤(アルテミシニン)が副作用、薬剤耐性が少ないとされ、マラリア治療の第一選択薬として広く使用されるようにな� �た。これによりこれまで制圧が困難であった地域でも大きな成果をあげている一方、アジア、アフリカの一部ではすでに薬剤耐性が報告されるようになってきた。2010年以後、アルテミシニンはグローバルファンドの援助によって東南アジアのマラリア治療薬としてインドネシアの国境付近のような僻地であっても処方されるようになってきている。治療の際、日本国内では認可されていない・販売されていない薬剤もあるのでオーファンドラッグについてのサイト[5]を参照すると良い。 近年は殺虫剤に耐性を持つハマダラカや、薬剤に耐性のあるマラリア原虫が現れていることが問題になっている。また地球温暖化による亜熱帯域の拡大とともにマラリアの分布域が広がることも指摘されている。流行地で生まれ育ち、度々マラリアに罹患し免疫を獲得したヒトでは、発熱などの症状がほとんど診られないこともあるが、免疫が無ければ発症する。

[編集] ノーベル賞

マラリアに関する研究に対して与えられたノーベル生理学・医学賞は3件ある。

1回目は1902年、イギリスの内科医ロナルド・ロスに、マラリア原虫がハマダラカによって媒介されることの発見に対して与えられた。

2回目は1907年、フランスの病理学者シャルル・ルイ・アルフォンス・ラヴランに、原虫による疾病の研究に対して与えられた。これは1880年のマラリア原虫の発見と、その後のリーシュマニアおよびトリパノソーマの研究を指す。

3回目は1927年、ウィーンの精神科医ユリウス・ワグナー・ヤウレッグに、麻痺性痴呆のマラリア療法の発明に対して与えられた。麻痺性痴呆は梅毒の末期症状であるが、梅毒の病原体である梅毒トレポネーマは高熱に弱いため、患者を意図的にマラリアに感染させて高熱を出させ、体内の梅毒トレポネーマの死滅を確認した後キニーネを投与してマラリア原虫を死滅させるという治療法である。当時梅毒の治療法としては他にサルバルサン投与による方法があったが、麻痺性痴呆には効果がなかったため画期的な治療法だった。ただし、この療法は危険度が大きいため抗生物質が普及した現在では行なわれていない。


鎮痛剤と妊娠

[編集] 現代各国(帰属未確定な地域を含む)において

[編集] 日本

かつて土着マラリアが存在したが、現在では絶滅している。しかし海外から帰国した人が感染した例(いわゆる輸入感染症)が年間100例以上ある。また、熱帯熱マラリアが増加傾向にある。現在第4類感染症に指定されており、診断した医師は7日以内に保健所に届け出る必要がある。 詳細は下記を参照のこと

[編集] ロシア

北緯64度以南の地域(北樺太、シベリアを含む)で、三日熱マラリアが流行していた。その大多数は、土着マラリアと思われるが、現在では絶滅している。

[編集] 南樺太

少なくとも、1922年(大正11年)頃までは三日熱マラリアが流行していた。その大多数は、土着マラリアと思われるが、現在では絶滅している。

[編集] カナダ

南部で、マラリアが流行していた。例えば、1820年代のリドー運河建設時には、多数の労働者がマラリアに罹患した。その大多数は、土着マラリアと思われるが、現在では絶滅している。

[編集] 韓国

日本と同様に一時期根絶に成功したと考えられていたが、1993年に京畿道北部の軍事境界線で三日熱マラリアの感染事例が確認された。北朝鮮側からマラリア感染した蚊が飛来したためと推定されている。当初患者は20 - 25歳の軍人が主だったが、次第に民間人へも広まり、現在では軍人患者とほぼ同数。2007年の全患者数は23413人にのぼっているという。[6]

[編集] スウェーデン

1880年頃まで毎年4000 - 8000人のマラリア患者が出ていた。その大多数は、土着マラリアと思われるが、現在では、撲滅された。

[編集] 戦争マラリア

太平洋戦争では南方のジャングルに長期滞在する兵士が多かった為、マラリア患者が続出した。米軍は厳重なマラリア対策を行っていたがそれでも患者は多かった。日本軍に至ってはほとんど対策をとっておらずガダルカナルでは1万5000人、インパール作戦では4万人、沖縄戦では石垣島の住民ほぼ全員が感染し[7]3600人、ルソン島では5万人以上がマラリアによって死んだ。

戦況の悪化による補給不足により、栄養失調状態になりながらマラリアにかかる者が多かったため、一度かかると殆ど助かる見込みはなかった。


鎮痛薬の術後の金属板

[編集] 日本におけるマラリア

[編集] 各地

北海道
ほぼ北海道全域で流行し、明治時代以降の北海道開拓に支障を来していた。例えば、1907年(明治40年)3月に着工された網走線鉄道工事の陸別・置戸間(当時、密林地帯で入植者はなかった)では、マラリア、皮膚病などに悩まされ、網走線請負人が共同で普通病院を設置しなければならなかった。また、深川村(現在の深川市)に駐屯していた屯田兵とその家族にマラリアの流行があり、1900年には1471名の屯田兵と家族が感染していた(当時の深川村の屯田兵と家族の総数:8207名。正確な年は不明だが、この頃の深川村の人口:14,073名)。1916年(大正5年)には、北海道全域のマラリア患者数は、2,003名であった(マラリアによる死亡者なし。当時の北海道の人口:1,408,362名)。北海道で流行したマラリアは、三日熱マラリアであり、そ� ��大多数は土着マラリアであると思われるが、現在では、撲滅された。ただし、今の北海道にも、かつて、日本で熱帯熱マラリアおよび三日熱マラリアを流行させたと推察されているオオツルハマダラカ(Anopheles lesteri)、あるいは、シナハマダラカ(Anopheles sinensis)などのハマダラカは生息している。[8][9]
本州
琵琶湖を中心として、福井、石川、愛知、富山でマラリア患者数が多く、福井県では大正時代は毎年9000 - 22000名以上のマラリア患者が発生しており、1930年代でも5000から9000名の患者が報告されていた。本州で流行したマラリアは三日熱マラリアであり、その大多数は土着マラリアであると思われるが、現在では、撲滅された。
沖縄
特に八重山諸島にはマラリア感染地域があることが知られ、琉球王朝の時代から強制移民と廃村が繰り返された歴史がある。また、第2次世界大戦中には戦争マラリアと呼ばれる大量感染の記録がある。これらも1960年頃までに根絶された。ただし、今の石垣市や西表東部、小浜にも、コガタハマダラカが高密度に生息している。なお、この地方のマラリアについては真の土着ではなく、より古い時代にオランダ船によりもたらされたとの説がある。

[編集] 日本(沖縄・奄美・小笠原を除く)の戦後マラリア

一般的に、マラリアは戦争時・戦後直後に大流行する傾向がある。実際、第一次世界大戦初期には欧州本土の軍隊間に甚だしいマラリアの流行はなかったが、末期近くになるにつれて漸次蔓延し、戦後には復員と共に従来マラリアをみなかった地方にまでもこれをみる様になり、遂には一時的ではあったが大流行となった。例えば、第一次世界大戦後のチェコスロバキアで熱帯熱マラリアの流行がみられた。 したがって、日中戦争 - 第二次世界大戦中の日本においても、ある程度、マラリア対策がなされていた。しかし、1939年以降、全国各府県(北海道を含む)にマラリア患者の発生をみないところはなく、特に、福井県・滋賀県・愛知県・富山県・石川県では、患者の発生数が多かった。 第二次世界大戦後、沖縄・奄美・小笠原以外の日本(当時、沖縄・奄美・小笠原は日本に返還されていなかった。以下、この節では、この日本を内地と称する)に帰還し、内地でマラリアが再発したのは、約43万人(引揚者を含む)と推定されている。これらの者が感染源となって、マラリアが内地で土着蔓延するのではないかと憂慮されていた。三日熱マラリアは、1946年、1947年に、それぞれ約7,000人の内地初感染があったと推定されている。四日熱マラリアは、内地初感染は全くなかった。熱帯熱マラリアは、1946年に、長崎県(36人)、熊本県(1人)、鹿児島県(2人)、岡山県(1人)、愛知県(1人)、大阪府(1人)で、1946年 - 1947年に北海道北見国留辺蘂町(7人)で、1949年に、福岡県(1人)で、内地初感染(流行)があった。以上の流行は、大体、1 - 2年以内に、終息し、土着蔓延しなかった。

[編集] 現在の日本で土着マラリアが流行していない理由

明治時代 - 昭和初期の日本では、全国で土着マラリアが流行し多数の感染者を出した。戦後も500万人を超える復員者による再流行が危惧されたが、1946年の28,200人をピークに減少し、現在では外国でマラリアに感染し、日本に帰国してから発症する例が年間100 - 150例程度あるものの、土着マラリアは流行していない。その理由としては、マラリアの媒介者であるハマダラカの多く発生する水田地帯の環境変化、稲作法の変化などによる発生数の減少や、日本の住宅構造や行動様式の変化により夜間に活動するハマダラカの吸血頻度が低下したことなどがあげられる。しかし、これらの状況が温暖化や自然災害などにより変化した場合は再び流行を起こす可能性もある。[10]


[編集] マラリアのないハマダラカ発生

ハマダラカは、マラリア原虫を媒介する。しかし、ハマダラカが生息していても、土着マラリアが流行していない地域がある。実際、かつて、土着マラリアが流行した西ヨーロッパ、アメリカ合衆国、カナダ南部、北緯64度以南のロシア、日本、南樺太には、今でも、ハマダラカが生息しているが、土着マラリアは流行していない。

[編集] 土着マラリアと劣悪な住居

一般的に、土着マラリアが流行する地域では、住民は劣悪な住居に住んでいる。 実際、明治34年(1901年)に土着マラリアが流行していた北海道深川村(現在の深川市)では、7 - 8月、屯田兵の兵屋内で、容易に50 - 60匹のハマダラカを捕獲できた。つまり屯田兵の兵屋は、50 - 60匹のハマダラカが屋内に侵入するような劣悪な住居だった。なお、そのハマダラカは、20 - 30匹に1匹の割合でマラリア原虫に感染していた(軍医学校教官陸軍一等軍医ドクトル、都築甚之助・陸軍二等軍医、大町文興調査)。 また、2008年2月半ば、ケニア西部にあるビクトリア湖畔のスバ県の土着マラリアが流行する地域(高地ではない)の伝統的な作りの住居(土壁。6畳ほどの民家に、夫婦2人と子供5人が生活している)に白いシーツを敷き詰め、屋内に殺虫剤を吹きかけると、10分間で、100匹以上のハマダラカの死骸を採取できた(長崎大学ケニアプロジェクト調査)。つまり、この地域の伝統的な作りの住居は100匹以上のハマダラカが屋内に侵入するような劣悪な住居である。 なお、2007年、国立感染症研究所ウイルス第一部部長倉根一朗は、マラリアの流行には、特に住宅構造が関係すること、現在の日本の住宅構造を考えると、毎晩、多数の蚊に刺される可能性はほとんど考えられないこと、今の日本のインフラストラクチャーを考えれば、自然災害などが重なってインフラストラクチャーが崩れるなどの変化が起きない限り、仮に地球温暖化が進んだとしてもマラリアが流行するとは思えないということを主張した。[11]

[編集] ヒト以外の動物におけるマラリア

P. juxtanucleareおよびP. gallinaceumを原因とする鶏マラリア、P. knowlesiP. cynomolgiなどを原因とする猿マラリアが存在する。猿マラリアを引き起こす原虫による実験室内における人体感染の報告がある。鶏マラリアでは発熱、脾腫、貧血、を主徴とし、黄疸や緑色便が認められることもある。また、ヒプノゾイトと呼ばれる肝内休眠原虫を形成し、終生持続し、再発症を起こす場合や持続感染免疫が成立する場合がある。ヒプノゾイトはP. vivaxP. ovaleにおいても認められる。


[編集] 関連項目

  • マラリアが死因と思われる有名人

[編集] 参考文献

  • 橋本雅一著『世界史の中のマラリア――一微生物学者の視点から』藤原書店。ISBN 4-938661-21-7
  • 石井敏雄 『獣医寄生虫学・寄生虫病学(1)総論/原虫』 講談社サイティフィク 1998年 ISBN 4-06-153715-6
  • 『網走線建設概要』(大正元年、鉄道院北海道建設事務所発行)(『陸別町史 交通・観光』の『交通』の『鉄道(網走線の敷設)』からの孫引き)
  • 内務省衛生局保健衛生調査室編『各地方ニ於ケル「マラリア」ニ関スル概況』1919年(大正8年)発行(2008年1月21日現在、国立国会図書館の『近代デジタルライブラリー』で閲覧可能)
  • 都築甚之助、大町文興著『我邦ニ於ケル麻刺里亜蚊伝搬ノ証明』英蘭堂書店。1901年(明治34年)10月29日発行(2008年1月21日現在、国立国会図書館の『近代デジタルライブラリー』で閲覧可能)p 17の『第三表(自明治28年至同34年)屯田歩兵第一大隊麻刺里亜患者表』
  • 台湾軍軍医部編『熱帯衛生並ニ熱帯病提要』。1922年(大正11年)12月25日出版(2008年2月23日現在、国立国会図書館『近代デジタルライブラリー』で閲覧可能)
  • 緒方富雄ほか編 『医学の動向 第22集 : 地方病研究の動向』 金原出版、1958年、141頁。
  • 「輸入マラリアの危機管理体制を、世界的規模で有病地が拡大」『八重山毎日新聞』2007年(平成19年)9月1日社説
  • 「広さ6畳、10分で蚊100匹」『朝日新聞東京版夕刊』2008年(平成20年)3月10日
  • 『沖縄 20世紀の光芒』(2000) 「苦闘400年 マラリアを克服した八重山」琉球新報社 那覇
  1. ^ Daneshvar C, Davis TM, Cox-Singh J, Rafa'ee MZ, Zakaria SK, Divis PC, et al. Clinical and laboratory features of human Plasmodium knowlesi infection. Clin Infect Dis. 2009;49:852–60. PubMed
  2. ^ Jongwutiwes S, Putaporntip C, Takuya I, Tetsutaro S, Hiroji K. Naturally acquired Plasmodium knowlesi malaria in human, Thailand. Emerg Infect Dis. 2004;10:2211–3.
  3. ^ Cox-Singh J, David TM, Lee KS, Shamsul SS, Matusop A, Ratnam S, et al. Plasmodium knowlesi malaria in humans in widely distributed and potentially life threatening. Clin Infect Dis. 2008;46:165–71. PubMed
  4. ^ マラリア メルクマニュアル家庭版
  5. ^ 保管薬剤(熱帯病治療薬研究班)東京大学 医科学研究所
  6. ^ 軍隊病'だったマラリア、一般人に広がる 中央日報2008年4月29日
  7. ^ 『沖縄戦の記録 日本軍と戦争マラリア』
  8. ^ *"『平成14年度国立感染症研究所年報』の『昆虫医科学部』の『11.昆虫医科学部 部長 小林 睦夫』" (日本語). 2008年1月20日閲覧。
  9. ^ *"『国立感染症研究所年報 平成16年版』の『昆虫医科学部』の『11.昆虫医科学部 部長 小林 睦夫』の『業績』の『調査・研究』の『II. 衛生昆虫類の生理・生化学・遺伝学的研究』の『(7)日本産ハマダラカ属hyrcanus種群の遺伝子分類と近年の北海道における分布域の推定』" (日本語). 2008年1月20日閲覧。
  10. ^ 地球温暖化と感染症~いま、何がわかっているのか?~
  11. ^ *"『気候変動と感染症』(ヘルシストニュース2007年7月号)" (日本語). 2008年7月22日閲覧。

[編集] 外部リンク

  • Wikipedia, the free encyclopedia. "Rideau Canal" (英語).

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