2012年4月21日土曜日

小さな眼科クリニック@城北公園(大阪市旭区) ---------------------- (竹内眼科医院):関西医大眼科同窓会


平成20年11月15日午後3~5時@関西医科大学(滝井)南館臨床講堂

☆講演:加齢黄斑変性治療の新しい流れ   高橋寛二教授
☆黄斑外来ミニシンポジウム
1、枚方病院でのbevacizumab使用例
2、枚方病院でのbevacizumab併用光線力学的療法症例
3、滝井病院でのbevacizumab使用例
4、狭義加齢黄斑変性 occult with no classic CNVに対する治療方針
☆枚方病院外来報告
☆滝井病院外来報告
☆まとめ

☆講演:加齢黄斑変性治療の新しい流れ   高橋寛二教授 
①治療ガイドライン
この疾患の治療は、我々が眼科医になった頃は(こんな言い方は昔話みたいで嫌ですが・・・)、FAをやって、プリントされた写真を拡大してみて、目標となる脈絡膜新生血管の位置を見つけ、複雑な眼底所見の中で、そのターゲットを定め、深さまで考慮しつつ新生血管を完全に潰すようにレーザーをうつ。これがしっかりと出来るのは、宇山教授以外は、大熊先生のみ?、やがて高橋先生が後継となり、一手に担っておられました。その後、硝子体手術が主役となった時期があり、現在、光線力学療法と呼ばれる治療が主役の座を奪っているようですが、薬物治療の急激な進歩によって、その勢力図は微妙な状態です。この複雑な状況を分かりやすく説明していただきました(教授なので敬語・・・)。

日本を代表するような� ��施設前向き研究Japanese Age-Related Macular Degeneration Tial (JAT) Studyは、PDTの承認を得る為の研究なので、たった64例と限られた症例だったのですが、その後、PDT研究会が主導して471眼の検討が行われました。
ざっくりと結果を言えば、演者の書いた医薬ジャーナル2008年6月号(Vol.44 No.6)から引用すると
『わが国において加齢黄斑変性に対する光線力学療法(PDT)が開始されて4年が経過し,PDTは加齢黄斑変性に対して最も多く行われる治療法となった。そ の治療成績は視力改善率20~30%,視力維持率約80%で,治療後12カ月までの平均視力は維持または改善,平均治療回数2回であり,欧米よりもはるか に良好であることが明らかになった。その原因として,わが国では滲出型加齢黄斑変性の特殊病型であるポリープ状脈絡膜血管症が多く,この病型にPDTの有効性が高いことが第一にあげられる。PDTの安全性においては大きな問題はなかった。』
ということです。


テキサス州の深刻な神経障害の痛みセンター

※1-2年間視力維持が可能。若いと(50代)改善例が多い。すべてのタイプの病変に有効だが、PCVだと改善しやすい。サイズが小さいほど(GLD※小さいものは10%、若い人は8%しかないが、PCVは30%以上。関西医大では38%。これが日本で全体の成績がいい理由。ただ、悪化するものが、新ガイドラインの為の調査でも市販後全例調査でも20%強。これがまだまだ問題。

②新しい薬物治療
1、ステロイド
トリアムシノロン/Retaane
2、抗VEGF
マクジェン/ルセンティス/アバスチン/VEGF Trap

まずステロイドから
1)トリアムシノロン
なんでもかんでも?これを使う流れに乗って?加齢黄斑変性にも広く行われてきた。通常、硝子体注入4mg(テノン嚢下投与20mg)で、3か月以上あけて投与すべき。ただ、どうも単独投与では無効で、硝子体内投与とPDT併用で漸くその有効性が認められるようになったようです。3段階以上視力低下する割合は、無治療では60%強。単独療法では61%、PDTとの併用は29%。

Gillies MC, Simpson JM, Luo W, Penfold P, Hunyor AB, Chua W, Mitchell P, Billson F.
A randomized clinical trial of a single dose of intravitreal triamcinolone acetonide for neovascular age-related macular degeneration: one-year results. Arch Ophthalmol. 2003 May;121(5):667-73.

Arias L, Garcia-Arumi J, Ramon JM, Badia M, Rubio M, Pujol O.
Photodynamic therapy with intravitreal triamcinolone in predominantly classic choroidal neovascularization: one-year results of a randomized study. Ophthalmology. 2006 Dec;113(12):2243-50. Epub 2006 Sep 25.

Chan WM, Lai TY, Wong AL, Tong JP, Liu DT, Lam DS.
Combined photodynamic therapy and intravitreal triamcinolone injection for the treatment of subfoveal choroidal neovascularisation in age related macular degeneration: a comparative study.
Br J Ophthalmol. 2006 Mar;90(3):337-41.

 ※このTA併用PDTは一時期、広く行われたが、関西医大ではそれほど積極的にはやらなかったようで、最近は、下火になりつつある。ただ、症例を選んで(難治例)に適用することあり。たとえば、RAPにテノン嚢下TA20mg入れて、1週間してPDTとか・・
※眼内炎・眼圧上昇・白内障・網膜剥離などの合併症報告があり、頻回投与が必要になれば、無視できない問題となる。

2)Anecortave Acetate (Retaane)
ステロイド特有の副作用を持たないで、血管新生抑制作用をもつとして開発されたステロイド。
後部テノン嚢下に15mg投与が標準だが、単独療法の効果は低く、没に・・・


足の裏の痛みの原因


この図は、下記文献から引用
以後抗VEGF療法
この分野では、今年10月14日に日本でも発売されたVEGFアプタマー、マグジェン(Pegaptanib)(既に世界53カ国で発売されています)とマウスのモノクローナル抗体のFabフラグメントをヒト化し全長の抗VEGF中和抗体であるアバスチン(bevacizumab)約149kD、網膜内移行性が悪いと判断し、ヒト化したFabフラグメントのVEGFに対する親和性、選択的結合性を向上させた約48kDの抗体フラグメントがルセンティス(Ranibizumab)、そしてVEFG Trap があります。どれも魅力的で期待大です。
Steinbrook R.
The price of sight--ranibizumab, bevacizumab, and the treatment of macular degeneration.
N Engl J Med. 2006 Oct 5;355(14):1409-12.

3)マクジェン Peganitanib Sodium
これは、他の薬物と違って選択的VEGFブロッカーです。抗体と違い、SELEX法という手法で人工的に作られたRNA分子で、VEGFアイソフォームのひとつVEGF165をターゲットにしたものです。VEGF 121に結合しないので、より安全と、大きな期待を背負って登場したマグジェンでしたが、日本での結果は、1年間視力維持できて、2年目もほぼ維持できたが、PDTと同程度。視力改善率はPDT以下。病変タイプに関係なく、小さい病変に有効。期待ほどでもない?
※しかもマクジェンR硝子体内注射用キット0.3mg(MACUGENRIVT Inj. KIT 0.3mg)の薬価は123,457円。高いです。
Tano Y; Pegaptanib Sodium Multi-center Study Group.
Pegaptanib sodium one-year treatment study for neovascular age-related macular degeneration Nippon Ganka Gakkai Zasshi. 2008 Jul;112(7):590-600.

4)ルセンティス
前述のとおり、網膜内移行性が悪いと判断し、マウスのモノクローナル抗体のヒト化したFabフラグメントのVEGFに対する親和性、選択的結合性を向上させた約48kDの抗体フラグメントがルセンティス(Ranibizumab)。非選択的VEGFブロッカー。通常0.5mgを硝子体に投与する。

海外データ
MARINA study (単独試験)
視力維持以上が、無治療52.9%、0.3㎎群92%、0.5㎎群90%
視力改善が、3.8%、26.1%、33.3%

ANCHOR study (PDTと比較試験)
視力維持以上が、PDT64.3%、0.3㎎群94.3%、0.5㎎群96.4%
視力改善が、5.6%、35.7%、40.3%


コーチゾン注射は背中の痛み

FOCUS study (PDT併用試験)
視力維持以上が、PDT単独67.9%、併用92.5%
視力改善が、5.4%、23.8%
再治療率は、91.1%、27.6%

つまり、日本おり少し悪い?と思われる海外データでさえ、PDT単独よりもはるかにいい成績であり、いかに視力低下を少なくするのかが目的であった治療から、ついに単独でも視力改善が期待できる治療法へとステップアップ!

5)アバスチン
マウスのモノクローナル抗体のFabフラグメントをヒト化し全長の抗VEGF中和抗体であるアバスチン(bevacizumab)(約149kD)。非選択的VEGFブロッカー。通常1.0-1.25mgを硝子体に投与する。
大腸癌・直腸癌に対する医薬品として認可(眼科用ではない・・)
これは、大規模スタデイはないですが、印象としては、ルセンティス同様、視力を改善し、網膜の厚みを正常化する。シャープな切れ味で、PDTできない視力の良い例にも使いやすい。PDTとの併用も期待できる。単独で30%以上の視力改善が望める?
※アバスチン®点滴静注用は、1バイアル(100mg/4ml)が 約5万。off label使用の問題はあるが、10回やれば1回5000円、20回なら2500円。100回やれば500円?
※ルセンティス®の場合、1回1950ドル。つまり1回20万円以上・・・。この差は大きい!!

※3か月で38.3%が視力改善
Spaide RF Intravitreal bevacizumab treatment of choroidal neovascularization secondary to age-related macular degeneration. Retina. 2006 Apr;26(4):383-90.

6) VEGF Trap
※完全ヒト型の可溶性VEGF受容体フュージョン蛋白で、胎盤成長因子 (PlGF) とすべてのVEGF-Aに結合する。VEGF Trap-Eyeの無作為化第Ⅱ相臨床試験は、良好な成績、期待できそう・・・

現時点の治療方針(誤記しているかもしれませんが・・・)
1)狭義AMD
①classic ⇒抗VEFG
②occult with no classic
・late leakage of undetermined source (UDS) ⇒PDT
・fibrovascular PED⇒PDT+抗VEFG
2)PCV
①PCV単独⇒PDT
②PCV + classic⇒PDT+抗VEFG
3)RAP⇒トリプル(TA+PDT+抗VEFG)
※抗VEFGは、今のところアバスチン?

今後様々な併用療法がおこなわれるようです。
1、アバスチン:導入、マクジェン:維持?
2、PDT+薬物 :トリプル
 ①TA→PDT+マクジェン
 ②PDT→アバスチン+TA
 ③TA+アバスチン+TA


☆黄斑外来ミニシンポジウム
1、枚方病院でのbevacizumab使用例
48眼ほど使用経験があり、視力改善は近視性が42%、AMD(殆どpredominantly classic)が34%
2、枚方病院でのbevacizumab併用光線力学的療法症例
PDT奏功しなかった2眼、RAP1眼、色素線条1眼。良好な成績。
※欧米の成績も良好
Ladas ID, Kotsolis AI, Papakostas TD, Rouvas AA, Karagiannis DA, Vergados I.
Intravitreal bevacizumab combined with photodynamic therapy for the treatment of occult choroidal neovascularization associated with serous pigment epithelium detachment in age-related macular degeneration. Retina. 2007 Sep;27(7):891-6.

Smith BT, Dhalla MS, Shah GK, Blinder KJ, Ryan EH Jr, Mittra RA.
Intravitreal injection of bevacizumab combined with verteporfin photodynamic therapy for choroidal neovascularization in age-related macular degeneration. Retina. 28(5):675-681, May 2008.

3、滝井病院でのbevacizumab使用例
色々含まれていて、よく分からないですが、近視性、ICNV、2型成分主体の加齢黄斑変性に有効。
4、狭義加齢黄斑変性 occult with no classic CNVに対する治療方針
Ⅰ型成分のみの病変にどうするか。
FAでFVPED(fibrovascular PED)とUDS(late leakage of undetermined source)に分類。
FVPEDは、PDTするまで時間がかかり(11.5M)、視力が悪く(0.16)、GLD大きく(5025)、PED下・網膜下に出血を伴い視力維持は42%(最終)
UDSはPDTするまで2.2M、視力少しましで(0.27)、GLD小さめ(3259)で、視力維持53%(最終)
※1年なら60-70%の視力維持できるが、やはりあまり成績よくない。PDT単独では限界があり、現在の考え方なら、抗VEGF併用すべき。



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