心臓発作(心筋梗塞)とは、心臓への血液供給が突然ひどく減少するか、あるいは途絶えたために、心筋が酸素の供給を受けられずに壊死する病気で、救急治療が必要です。
米国では毎年110万人以上もの人が心臓発作を起こしており、その約3分の2は男性で、ほとんど全員が冠動脈疾患にかかっています。
心臓発作が起こるのは冠動脈の閉塞によって心臓の一部への血液供給が大幅に減少したり途絶えたときです。このような状態が2〜3分以上続くと心臓の組織が壊死します。
原因
冠動脈を詰まらせる原因として最も多いのが血栓(血液のかたまり)です。冠動脈はすでにアテロームによって部分的に狭くなっていることが多く、アテロームが破裂したりちぎれたりすると、動脈はさらに狭くなって血栓が詰まりやすくなります。破裂したアテロームは血流を減少させるだけでなく、血小板の粘着性を高める物質を放出するため、血液はさらに固まりやすくなります。
まれですが、心臓内で形成された血栓がはがれて心臓から流れ出し、冠動脈に引っかかって発作が起こることがあります。冠動脈のれん縮のために血流が遮断されて心臓発作が起こることもまれにあります。れん縮は薬によっても起こりますが、原因不明のこともあります。
症状
心臓発作(心筋梗塞)を起こした人の3人に2人は、発症する数日あるいは数週間前に、間欠的な胸痛(狭心症(冠動脈疾患: 狭心症を参照))、息切れ、疲労感がみられます。痛みはより頻繁に起きるようになり、運動量をいくら少なくしても起こるようになります。これらの胸痛パターンの変化(不安定狭心症(冠動脈疾患: 狭心症を参照))は、心臓発作を起こすことで頂点に達します。
心臓発作の最も特徴的な症状は、胸の中央から背中、あご、左腕に広がる痛みです。頻度は少ないですが、痛みは右腕に広がることもあります。痛みが、これらの1カ所以上で起こっているのに、胸には起こらないこともあります。心臓発作の痛みは狭心症の痛みと似ていますが、より激しく長く続き、安静にしてもニトログリセリンを使用しても軽減しません。まれに、腹部に痛みを感じることもあり、特にげっぷをすると痛みが一時的に軽減したりする場合には、消化不良と誤解される可能性もあります。
心臓発作を起こした人の約3分の1では、胸痛がみられません。このような患者は、女性、有色人種、75歳以上の人、心不全や糖尿病のある人、脳卒中を起こしたことのある人に多くみられます。
その他の症状には気が遠くなる、突然に激しく発汗する、吐き気、息切れ、大きな心拍音の自覚などがあります。
不整脈は心臓発作を起こした人の90%以上に起こります。心臓発作の直後あるいは数日以内は、心臓が適切に働いていないため、不整脈が起こります。心室に由来する不整脈(心室性不整脈)は、心臓のポンプ機能を大きく阻害したり、事実上拍動を停止した状態(心停止)に至ることがあり、その結果意識を失うか、死亡します。ときには意識消失が心臓発作の最初の症状となることもあります。
発作中は落ち着かず、発汗、不安、破滅が迫っている感覚がします。唇、手、足はわずかに青白くなります。
高齢者ではまれな症状がみられることもあります。多くの場合、最も明らかな症状は息切れですが、胃の不調や脳卒中に似た症状がみられることもあります。また、見当識障害もみられます。それでも、高齢者の約3分の2には、若い人と同じように胸痛がみられます。特に高齢の女性では、自分が病気であることに気づくまで、または救急車を呼ぶまでの時間が、若い人よりも長くかかっています。
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